思いでは色あせない、あの日の忘れられないコーヒー

子どものとき、苦くて真っ黒で美味しそうでなかったコーヒーが、大人になったらいつの間にか、私が一息つくとき紅茶より多く飲んでいる、ホッとする飲み物です。
28年前、知り合いがいたフランスを拠点に、私は貧乏旅行とホームステイのため、ヨーロッパに行きました。
イギリスのポンド、フランスのフランと、それぞれの国の通貨に両替していた当時、帰国後日本円に替えられない小銭を使い切るため、次の国への移動時よくコーヒーを飲みました。
コーヒーを飲んでいると味か香りのせいなのか、なぜか現在でも時々、帰国時空港で「来年も遊びに来て」と、涙ながらにハグしてサヨナラした場面を思い出します。
記憶と感情を処理する脳の部位と繋がっている嗅覚は、香りが記憶を引き出すきっかけになり、コーヒーの香りが私に空港でサヨナラした場面を思い出させるのでしょう。
28年が経過した現在、脳の病気になってしまった私は、多くの薬を服用しながら日常生活を送っています。
薬のいろいろな飲み方を試している中、「白湯で飲むのが普通」と思っていた薬を、「コーヒーで飲んでもいいよ!」と言われ、驚きました。
ボケ予防の効果があるコーヒーは、「コーヒーと同じような成分の認知症予防の薬も少しずつ開発されている」と大学病院の脳神経内科の先生に聞きました。
「毎日1杯は飲むといいよ」とも言われ、私の薬にあてはまりますが、飲み合わせに十分気をつけなければいけません。
コーヒーは飲み過ぎると眠れない、トイレが近くなる、起床後飲むとお通じによいなど、いろいろ耳にしますが、何事もほどほどに上手に活用すれば、よいものになります。
残念ながら、フランスに住んでいた知り合いももういないうえ、ホームステイしていた家族も、お母さんの国のブルガリに引っ越してしまいました。
その後、しばらくクリスマスカードやバースデーカードを交換していましたが、私の結婚に伴い連絡が途切れてしまいました。
そんな状況でも思い出は色あせず、30年近く経った現在も、コーヒーを飲みながらふと、涙でハグした空港での場面を思い出すときがあります。

思いでは色あせない、あの日の忘れられないコーヒー
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